こんにゃくの話
効果・効能:便秘改善効果、ダイエット効果、カルシウム供給源、コレステロール値上昇抑制作用など。
こんにゃく主成分グルコマンナンの効果・効能:便秘改善効果、ダイエット効果、コレステロール値減少作用、中性脂肪値減少作用、血糖値減少作用など。
こんにゃく芋はサトイモ科の多年生草で、原産地はインドネシア半島といわれています。こんにゃく芋は種芋から増やしますが、成長するのに2~3年が必要です。中国から日本へ伝わったと考えられますが、その時期ははっきりしません。こんにゃくのことが日本で最初に書物に記載されたのは平安時代であり、一般食品として重用され始めたのは江戸時代になってからです。
こんにゃく特有のプリプリした歯ざわりは、主成分であるグルコマンナンという水溶性食物繊維がアルカリ性物質(消石灰や炭酸ソーダ)によって凝固したためです。こんにゃくの作り方は、こんにゃく芋を薄く切って乾燥させ、さらに細かい粉末(精粉)にします。この精粉の水溶液にアルカリ性物質を加えると、精粉中のグルコマンナンが凝固します。何回もアク抜きをして、こんにゃくができます。こんにゃくを日常的に食べている民族は日本人だけです。室町時代、こんにゃくは高級食品でした。僧院で精進料理に使われたり、寺院から武家や公家への贈答品にも用いられました。こんにゃくには体内をきれいにする作用があることは古くから知られ「胃腸のほうき」、「おなかの砂おろし」などといわれ、季節の変わり目などに心身の不浄を払うために食べられることが多かったといわれています。これに対して、欧米人はこんにゃくのことを「悪魔の舌」と呼び、彼らには親しめない食べ物のようです。
こんにゃくおよび主成分グルコマンナンの効果・効能について次に記します。
1.こんにゃく:板こんにゃく、糸こんにゃくなどは主成分グルコマンナンが凝固し水に不溶性になったもので、水溶性のグルコマンナンとは生理作用がかなり異なります。こんにゃくは消化酵素では分解されず、噛み砕かれたこんにゃくは小腸下部から大腸において腸内細菌によって分解されます。便中にはこんにゃくの形は残っていません。
・便秘改善効果 こんにゃくのような食物繊維が多い食品は一般に、かさが大きく、便の量も多くなりますので、腸の内壁を刺激し便の流れをよくし、便秘の解消になります。
・ダイエット効果 こんにゃくは水分が96~97%で、残りの大部分はほとんど消化されない水溶性食物繊維であるグルコマンナンです。こんにゃくは栄養分がほとんどないため、昔からダイエット食品として注目されてきました。毎日、こんにゃく製品200gを食べ、糖質・脂肪の摂取量をその分だけ減らし1カ月間継続したところ、
体重が約3キロ減ったという事例があります。
・カルシウムの供給源 カルシウム含量は板こんにゃく100g当たり43mg;しらたき100g当たり75mgと多くはありませんが、こんにゃく中のカルシウムは胃酸のような溶液に溶出されやすいことが確認されています。胃中で溶出されたカルシウムは小腸から吸収利用される可能性が大きく、こんにゃくはカルシウムが唯一の栄養素であると考えられます。
・コレステロール値上昇抑制作用 健康な被験者6名がバターを大量に摂取したところ、血液中のコレステロール値は数日で著しく上昇しました。次いで、バターに加えて大量のこんにゃくを摂取したが、コレステロール値は低下しませんでした。しかし、こんにゃくの摂取期間中はコレステロール値の上昇が抑制されました。
これらのほか、噛み砕かれたこんにゃくが胃・腸内を移動するため、こんにゃくは胃や腸をきれいにすることが期待されます。
Ⅱ.主成分グルコマンナン:水溶性のグルコマンナンは胃や小腸の上・中部でゼリー状となり、コレステロールや中性脂肪、さらに発がん物質までも包み込んで、大腸に移動させ排泄させます。
・便秘改善効果 グルコマンナンのような食物繊維を摂取すると便が固まらず、腸が運動しやすくなり、便も流れやすくなります。グルコマンナン1日3gを便秘の高齢者に投与したところ、被験者の約2/3に便秘改善効果が認められたと報告されました。
・ダイエット効果 上記こんにゃくと同じです。
・コレステロール値・中性脂肪値の減少作用 コレステロールが増えすぎると、動脈硬化の原因となります。グルコマンナンは一緒に食べた食品中のコレステロール吸収を抑制するだけでなく、既に体の中にあるコレステロールも減少させる作用があります。健康な女子16名がバターを摂取しました。血中コレステロール値はバターの摂取によって上昇しましたが、バターと高純度のこんにゃく精粉(主にグルコマンナン)(12g/日)を一緒に摂取すると減少しました。また、70歳以上の女子12名が高純度のこんにゃく精粉3g/日を4週間摂取したところ、血中コレステロール値の約10%が減少し、中性脂肪値は約20%も減少しました。実験動物の場合でも、血中総コレステロール値、悪玉コレステロール値、中性脂肪値の減少が報告されました。
・血糖値減少作用 糖尿病患者13名がグルコマンナン7.2gを30日間続けて摂取した結果、絶食時の血糖値が29%減少することが認められました。さらに、健康な男子7名が16%の糖(グルコース)溶液500ml;別に同液にグルコマンナン5g添加した溶液を摂取したところ、グルコマンナンを添加した場合には、糖溶液に比べて30分後の血糖値が15%減少し、インスリン濃度も33%減少することが分かりました。また、Ⅱ型糖尿病患者72名が高純度のこんにゃく精粉を65日間続けて摂取した結果、食事2時間後の血糖値が著しく減少しました。中性脂肪過多の患者では中性脂肪値も著しく減少しました。このほか、血糖値や血中コレステロール値、悪玉コレステロール値を改善させるので、グルコマンナンは高血糖症の予防に大変有用であると報告されました。
・血圧降下作用 こんにゃく精粉のアルコール抽出液をウサギに注射すると、明らかな血圧降下が示されました。このことからグルコマンナンには血圧降下作用が期待されます。
これらのほか、グルコマンナンが実験動物の乳がんや大腸がんの発症を抑制することも報告されています。
最後に、グルコマンナンがアルカリ性物質によって固められていない食品には、こんにゃくゼリーがあります。これはこんにゃく粉に果汁などを加えて加熱したもので、健康によいと宣伝されています。また、米と一緒に炊くことで、カロリーを抑えることができる米粒状の食品も開発されました。病院や社員食堂などで利用されています。
一休み:「コンが尽きたらコンのつくものを食べよ」という言葉があります。「精根尽きた」とき、だいこん、れんこん、こんぶ、こんにゃく、ごんぼうなどを食べるとよいと昔の人は教えています。カロリーが少なく、排便を促す食物繊維食品は「精根尽きた」とき体をリセットし健康によいと教えているのでしょう。
参考資料:1.沖増 哲:こんにゃくの科学 渓水社 平成5年
2.辻 啓介:健康食 こんにゃく 農山漁村文化協会 昭和62年
3.辻 啓介ら:栄養学雑誌 Vol.31 No.4 152(1973)
4.Mao CPら:Acta Pharmacol Sin 2002 Sep;23(9):855-9
5.Hou YHら:Biomed Environ Sci. 1990 Sep;3(3):306-14
6.Chen HLら:J Am Coll Nutr. 2003 Feb;22(1):36-42
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