日本ナシの話
日本ナシは中国中部や朝鮮半島南部、日本中部以南に原生していたヤマナシが改良されたものと考えられています。ナシは弥生時代の遺跡から種子が出土しており、日本で初めて栽培された果実といわれるほど古い歴史があります。二十世紀は明治21年(1888年)に千葉県松戸市で偶然に見出され、その後、鳥取県に導入され、現在、鳥取県の特産品となっています。ナシの機能性について次に記します。
ダイエット効果:
ナシには水分が約90%含まれており、重量当たりのカロリーはご飯(精白米)の約1/4です。ボリュームが大きいので、ナシを食べると空腹感が和らぎダイエット効果が得られます。児童5,559人および成人9,117人を対象とした調査では、果物を多く食べる人には肥満者が少なく、果物の摂取がダイエットに効果あることが分かりました。
痔・便秘改善:
ナシにはソルビトールや食物繊維が多く含まれています。ソルビトールは果物の中で特にナシに多く、低カロリーで、むし歯になりにくい糖質として知られています。また、ソルビトールは吸水作用があり便を軟らかくし、腸の動きを活発にします。
食物繊維はカロリー当たりで比較すると、サツマイモよりも多く含まれています。不溶性食物繊維も水分を保持する力が強く便のボリュームを増やすので、ナシは痔や便秘の改善に役立ちます。
糖尿病・心臓病・脳卒中の予防:
水溶性食物繊維は胃の中で粘度の高い状態になり、一緒に食べた他の食べものと混ざり合い、ゼリー状になって小腸までゆっくり進みます。そのため栄養分の吸収速度が遅くなり、血糖値の急激な上昇が抑えられ、それを抑えるインスリンを膵臓は多量に分泌する必要がなくなります。水溶性食物繊維の多い、ナシは糖尿病の予防や軽減に有効です。
また、水溶性食物繊維には血液中のコレステロール濃度を低下させ、動脈硬化や脂肪肝、心筋梗塞、脳梗塞などを予防する効果もあります。心臓病と食物繊維の関係について、男性91,058人および女性245,186人を対象として6~10年間調査した結果、食物繊維を1日10g多く摂取すると、心臓病の発症率が14%、死亡率が27%低いと報告されました。ナシは心臓病の予防に有効です。また、食事内容と脳卒中の関係について、43,738人の男性を対象として調査した結果、カリウムを多く摂取している人は、脳卒中になるリスクが38%低いと報告されました。ナシは、カリウムが1個当たり約280mgと多いので、脳卒中の予防に有効です。
高血圧予防:
約27%の高血圧患者を含む459人の成人を対象として試験した結果、果物と野菜を多く食べ、コレステロールなどを減らす食事をした人は、試験開始後、2週間以内に血圧が劇的に下がったと報告されました。ナシに多い水溶性食物繊維は血液中のコレステロール濃度を低下させ、カリウムは血圧を下げる作用をするので、ナシは高血圧の予防にも有効です。
これらのほか、オランダで25年間、793人の成人を対象として調査した結果、ナシやリンゴを多く食べる人は、ぜん息や気管支炎などの慢性的な呼吸器系疾患の発症リスクが37%低いと報告されました。さらに、ナシには風邪の熱さまし、咳や痰を除く、二日酔いに効くなどいろいろな効果があるといわれています。ナシの果肉を煮詰めた「ナシ飴」は喉を滑らかにすることも知られています。
なお、ナシは食べ過ぎると体を冷やすことがあります。胃腸が弱く下痢しやすい人、妊娠中、産後、体が冷えやすい人は食べ過ぎないように注意しましょう。
参考:
1.果実日本 2006 vol.61(6)号 p.30
2.農林水産省果樹花き課:果物&健康NEWS vol.22;110;116
3.Am J Epidemiol 1993;138:37-45
4.Nature vol.284(p.283) 20 MARCH 1980など
| 固定リンク
« 大麦の話 その2 | トップページ | セロリーの話 »


コメント