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2008/12/02

ほうれん草の話 その1

 漫画アニメの主人公ポパイは、ほうれん草を食べると、たちまち超人的パワーが湧いてきて、大男ブルートをやっつけ恋人を奪い返します。ほうれん草の代わりにニンニクも試みたが、ほうれん草の方が断然効果があったと物語の中で語っているそうです。
 ほうれん草は野菜の王様です。100gのほうれん草はビタミンAの成人一日推奨量をほぼ満たしています。また、がん予防や加齢性黄斑変性のような目の疾患を抑えるカロチノイドの一種ルテインは、にんじんの39倍;夏かぼちゃの8.5倍;冬ほうれん草のビタミンCは60mg(グレープフルーツの1.6倍);貧血予防や成長促進のために必要で、特に妊婦にとって重要な葉酸は210μg(ブロッコリーと同程度);血圧を正常に保ち、不足しやすいカリウムは690mg(バナナの約2倍)含まれています。このほか、日本人に不足がちなビタミン類が豊富に含まれています。
 ほうれん草はアカザ科ホウレンソウ属の植物で、原産地はイランです。今でもイランからアフガニスタンにかけての一帯に野生種が分布しています。ほうれん草は原産地から東方に伝わり、「東洋種」と呼ばれる品種群が作られ、西方に伝わったものはヨーロッパで「西洋種」の品種群が作られました。日本へは17世紀に中国から東洋種が渡来しました。東洋種は根から葉の下部が赤く、葉の切れ込みが多く、また、結石やえぐ味の原因といわれるシュウ酸がやや多く含まれています。一方、西洋種は19世紀になって欧米から導入されました。西洋種は根の赤みが少なく、葉の切れ込みも少ないのが特徴です。現在では純粋な東洋種や西洋種はほとんど栽培されていませんが、夏期には西洋種、冬期には東洋種の性質を残す品種が栽培されています。
 ほうれん草は冬が旬で、夏に比べると甘味は倍増し、ビタミンCは3倍も多く含まれます。
 ほうれん草の機能性について研究例を次に記します。
抗がん作用:ほうれん草には乳がん、大腸がん、前立腺がんなど各種のがんの発症リスクを減らす作用があります。1997年、アメリカで乳がん患者3,543名、対照者9,406名を対象とした疫学調査が実施されたところ、ほうれん草やにんじんを週2回以上食べている人は、食べない人に比べて乳がんの発症リスクが44%減少しました。1990年、愛知がんセンターで乳がん患者175名、頸がん患者56名、対照者231名を対象とした疫学調査が実施されたところ、緑黄色野菜やにんじんをしばしば食べている人は乳がんの発症リスクが半減し、頸がんも70~50%減少しました。
 2000年、アメリカで大腸がん患者1,993名、対照者2,410名を対象とした疫学調査が実施されたところ、ほうれん草に豊富に含まれているルテインの摂取が多いと、大腸がんの発症リスクが17%減少し、特に若者の場合には34%減少したと報告されました。また、緑黄色野菜が少なく、赤肉が多い食事は大腸がんを引き起こしやすいといわれていますが、ほうれん草は食物中の赤肉成分(ヘム)によって引き起こされる細胞障害を予防し、大腸がんの発症リスクを減らすことが分かりました。
 2005年、オーストラリアで前立腺がん患者130名、対照者274名を対象とした疫学調査が実施されたところ、前立腺がんの発症リスクは、ほうれん草に含まれているルテイン、ゼアキサンチン、α-カロテン、β-カロテン;トマトに豊富に含まれているリコペンの摂取が多くなると減少し、ほうれん草、トマト、かぼちゃ、スイカなどを多く食べるほど減少しました。別の疫学調査でもほうれん草を多く食べると、進行性前立腺がんの発症リスクが減少したと報告されました。
 これらのほか、食道がん、胆のうがん、肺がんに関する疫学調査でも、ほうれん草の有効性が認められました。27~40歳の女性23名を調査した結果、ほうれん草、トマト、にんじんなどはリンパ球DNAの損傷を著しく減らし、がん予防効果を発揮することが示されました。また、ほうれん草の抽出液は発がん物質で引き起こされる染色体異常を抑制することも報告されました。
・・・その2に続く・・・

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