ほうれん草の話 その2
白内障の発症リスク軽減:白内障は水晶体を構成するたんぱく質が黄白色または白色に濁ることによって発症し、45歳以上の中年に多く、年齢を重ねるにつれて増加します。
1999年、アメリカで45~71歳の女性77,466名を対象とした疫学調査を実施したところ、ほうれん草に豊富に含まれているルテインやゼアキサンチンを多量に摂取している人は、ほとんど摂取していない人に比べて白内障摘出が22%減少することが明らかになりました。また、ほうれん草をしばしば食べる人は白内障の発症リスクを減少させることも分かりました。45~75歳の男性医療従事者36,644名を対象とした疫学調査でも、上記の結果と同様にルテインやゼアキサンチンを多量に摂取している人は白内障の摘出リスクを減らし、カロチノイド類を豊富に含む食品のうちでも、ほうれん草やブロッコリーを多く食べる人は白内障の発症リスクを大きく減らしました。また、アメリカ11州に在住の45~67歳、女性50,828名を対象とした疫学調査でも、ほうれん草の有効性が認められました。β-カロテンが豊富な人参より効果がありました。
老化に伴う神経・認識機能の低下改善:2007年、アメリカで65歳以上の認知症を患っていない965名を対象とした疫学調査を実施したところ、ほうれん草に豊富に含まれている葉酸を多く摂取している人は、ほとんど摂取していない人に比べてアルツハイマー病の発症リスクが半減しました;2005年、イタリアにおける疫学調査でも葉酸の摂取量が低い場合には、認知症やアルツハイマー病の発症リスクが高まったなどが報告されました。
また、ほうれん草やいちごを添加した餌を実験動物に長期間与えると、ドーパミン(神経細胞間で情報を伝達する物質)の放出が著しく高まりました。ほうれん草を餌に添加した実験動物ではドーパミンの放出が4倍に高まり、いろいろな老化現象が現れるのを遅らせました。ほうれん草のような抗酸化物を含む野菜や果物を多く食べると、中枢神経や認識行動の衰えを遅らせるのに有益であろうと報じられました。さらに、ほうれん草を添加した餌を与えると、実験動物は瞬目(めばたき)反応の遅れを著しく改善した;ほうれん草やいちご、ブルーベリーなどを添加した餌は加齢動物における脳の機能低下を改善させ、運動機能も向上させた;ブルーベリーやほうれん草を添加した餌を実験動物に長期間与えると、加齢動物における神経の機能低下が改善し、脳皮質の梗塞も著しく減少し、また、梗塞後の運動機能も向上したなどが報告されました。
ほうれん草には上記のような機能性があるほか、ビタミン類やミネラル類が豊富に含まれているため、コレステロールの酸化防止、動脈硬化の予防、風邪の予防や貧血・冷え性の改善、丈夫な骨作り、メラニン色素の生成抑制などの作用があります。
しかし、ほうれん草にはシュウ酸が多く含まれています。シュウ酸は尿路結石の原因となり、また、カルシウムの吸収も阻害します。シュウ酸を除くために1~2分間茹でると、ビタミンC、カリウム、葉酸などのおよそ半分はお湯の中に溶け出してしまいます。カルシウムを多く含む食品と一緒に食べると、シュウ酸はシュウ酸カルシウムとなり小腸で吸収できず、体外に排泄されます。ほうれん草はかつお節や魚介類、牛乳などと一緒に炒めたり、スープにするとよいでしょう。
参考:
①Longnecker MPら:Cancer Epidemiol Biomarkers Prev. 1997 Nov;6(11):887-92
②Tajima Kら:Gan No Rinsho. 1990 Feb; Spec No:351-64
③Slattery MLら:Am J Clin Nutr. 2000 Feb;71(2):575-82
④Chasan-Taber Lら:Am J Clin Nutr. 1999 Oct;70(4):509-16
⑤Brown Lら:Am J Clin Nutr. 1999 Oct;70(4):517-24
⑥Luchsinger JAら:Arch Neurol. 2007 Jan;64(1):86-92
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