カリフラワーの話
カリフラワーはブロッコリー、キャベツ、大根などと同じアブラナ科の一年生および二年生植物で、キャベツの変種であるブロッコリーが原種といわれています。カリフラワーは日本には明治初年に導入されましたが、観賞用として「ハナハボタン」といわれてきました。ボタン(牡丹)といえば、昔、美人を「立てば芍薬(シャクヤク)、座れば牡丹(ボタン)、歩く姿は百合(ユリ)の花」と形容したものです。ボタンは華やかな綺麗な花です。カリフラワーは野菜界の第一級の美人といえます。
カリフラワーは品種の改良、栽培技術の進展、さらに食生活の洋風化に伴って、1965年頃には一般野菜としての仲間入りするようになりました。カリフラワーの可食部は白くこんもりとした花のつぼみと花茎の部分です。つぼみには約3万個の花芽が付いています。
日本ではカリフラワー栽培が最初に定着し、10年以上も遅れてブロッコリーが定着しましたが、最近ではブロッコリーの生産量が飛躍的に伸び、栄養的に劣るカリフラワーの生産量は激減しています。
カリフラワーのビタミンC含有量はブロッコリーに比べて少ないが、加熱による損失が少ないため、調理後は同程度(53mg/100g)となります。ビタミンC含有量はサラダなどに使われる他の野菜と比較すると、ブロッコリー(茹で54mg)、キャベツ(41mg)、トマト(15mg)、キュウリ(14mg)、大根(12mg)、セロリ(7mg)、レタス(5mg)であり、カリフラワーにはビタミンCが多いことが分かります。ビタミンCは抵抗力をつけ風邪の予防に有効です。また、シミやソバカスの元になるメラニン色素の生成を抑え肌を美しくしてくれます。
さらに、カリフラワーには食物繊維が3.2g/100g含まれており、上記のサラダ野菜の中ではブロッコリー(3.7g/100g)に次いで、トップクラスです。食物繊維には食物中のコレステロール吸収抑制による狭心症や心筋梗塞などの予防;血糖値の急激な上昇抑制による糖尿病の予防・軽減;便秘の改善などが期待されます。
カリフラワーにはブロッコリーに比べるとβ-カロテンやビタミンE、ビタミンkのほか、がん予防が期待される成分の含有量が少ないが、特有の抗がん成分であるMMTSという硫黄化合物が注目されています。
カリフラワーの機能性について研究例を次に記します。
抗がん作用:2007年、カナダにおいて男性29,361名、このうち前立腺がん患者1,338名を対象に、野菜や果物の摂取とがん発症の関係が疫学調査されました。その結果、アブラナ科野菜、特に、カリフラワーおよびブロッコリーでは前立腺がんの発症リスクが減少していました。具体的には、1月に1サーピング*以下しか摂取しない場合に比べて、1週間に1サービング以上摂取した場合には、カリフラワーでは発症リスクが52%;ブロッコリーでは45%減少したことが明らかにされました。2001年、オランダにおいて55~69歳の男女120,852名を対象に、21種類の野菜および9種類の果物の摂取と尿路上皮がん発症の関係が疫学調査されました。その結果、アブラナ科野菜では発症リスクが25%;たまねぎやにんにくなどユリ科野菜では発症リスクが11%減少しました。特に、カリフラワーや調理後の人参では著しく減少したと報告されました。1996年、オランダにおいてキャベツ、ブロッコリー、カリフラワーなどアブラナ科野菜のがん予防に関係する87の疫学データがまとめられました。その結果、これらのデータのうち、キャベツでは70%の疫学データに、ブロッコリーでは56%、カリフラワーでは67%に、がん予防効果があることが認められました。このことから、アブラナ科野菜を多く摂取すると、肺がん、胃がん、大腸がん、直腸がんなどの発症リスクを減少させると結論づけられました。
また、1995年、岐阜大学において、カリフラワーから単離されたMMTSという硫黄化合物、および発がん物質を添加した餌で実験動物を飼育し、大腸がんの発症率が試験されました。大腸がんの発症率はMMTS無添加では43%、MMTS20ppm添加では25%、MMTS100ppm添加では発症なしでした。カリフラワーに含まれているMMTSが、がんの発症を抑えることが明らかになりました。
これらのほか、アブラナ科野菜は胃がんや大腸がんの発症リスクを減らした;アブラナ科野菜は乳がんの発症リスクを著しく減らした;カラフラワーを加えた食餌は肝臓中に存在するある種の解毒酵素の活性を著しく上昇させた。このことは、カリフラワーにがん発症を防止する作用があることを示していると報告されました。
なお、カリフラワーは、ブロッコリーに比べてビタミンやミネラルなど栄養面で劣りますが、味にクセがないので、茹でてグラタン、シチュー、炒めものなど種々の料理に使用できます。保存するときは冷蔵庫の野菜ボックスに濡れた新聞紙、またはラップに包んでおくと、1週間くらいは保てます。茹でるときには水1リットルに対して塩大さじ1杯を入れた湯で、カリフラワーに布巾をかぶせて茹でるとよいでしょう。このとき、酢またはレモンの輪切り3,4片を入れると黄変を防ぎ、色鮮やかに茹で上がります。
*1サービング:果物では中程度の大きさのもの1個;野菜では葉野菜1カップ(237ml)、その他の野菜では1/2カップ。
参考:
1.Kirsh VAら:J Natl Cancer Inst. 2007 Aug 1;99(15):1200-9
2.Zeegers MPら:Cancer Epidemiol Biomarkers Prev. 2001 Nov;10(11):1121-8
3.Verhoeven DTら:Cancer Epidemiol Biomarkers Prev. 1996 Sep;5(9):733-48
4.Kawamori Tら:Cancer Res. 1995 Sep 15;55(18):4053-8
5.Hara Mら:Nutr. Cancer. 2003;46(2):138-47
6.Fowke JHら:Cancer Res. 2003 Jul 15;63(14):3980-6
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