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2009/03/01

グレープフルーツの話

 グレープフルーツは木の高さが5~6mの常緑樹ですが、成長を続けると13~15mほどになります。一本の枝になる果実が、ぶどうの房のように見えることからグレープフルーツと名付けられました。起源は18世紀前半に中米カリブ海のバルバドス島に伝わったブンタンと他のオレンジとの自然交配によって誕生したと考えられています。
 グレープフルーツの学名に「paradisi」という文字が入っていますが、原産地では「楽園(パラダイス)の禁断の実」として珍重されていたといわれています。
 現在、グレープフルーツは世界各地で広く栽培されています。特に、アメリカのフロリダ、カリフォルニア、アリゾナに大産地があります。一年中出回っていますが、4~6月頃が一番おいしい時期です。日本には大正初期にアメリカから渡来しましたが、寒さに弱いため栽培が難しく、国内ではほとんど栽培されていません。
 グレープフルーツは果肉によって、白系と赤系(ピンク、ルビー)がありますが、一般に赤系のほうが甘みが強いようです。グレープフルーツは生で食べたり、ジュースとして飲用されます。また、皮はマーマレードやジャムを作るのにも適しています。
 グレープフルーツにはビタミンCが温州みかんよりやや多く含まれており、2/3個のグレープフルーツはビタミンCの成人一日推奨量をほぼ満たしています。ビタミンCは肌にうるおいを与え、肉体疲労やストレスからの回復、風邪、がん予防に効果があります。また、ビタミンCのほか、カリウムも豊富に含まれているので、心臓の健康にも役立ちます。アメリカではグレープフルーツ製品(果実や果汁など)に、心臓を守る食材であることを示すハートマークを付けて販売しているようです。
 グレープフルーツの苦味成分などには発がん物質の無毒化や排除を促す抗がん作用が認められています。また、赤系のグレープフルーツには、がん発生を抑える強力な抗酸化力のリコペンも含まれています。
 グレープフルーツの果皮の裏側や袋の白くふわふわした部分などに食物繊維のペクチンが多く含まれています。食物繊維のペクチンは血中コレステロール値を低下させ動脈硬化を予防したり、腸の調子を整え便秘を解消します。
 グレープフルーツは他の果物に比べると、100g当たりのカロリーが少ないので、ダイエット中の人や糖尿病の人などのビタミン補給に適切と思われます(註)。また、グレープフルーツダイエットという言葉が一時期流行しました。ダイエット効果のある成分が沢山含まれているとかで、一週間で2~3kg減った人も、しかもリバウンドしないとの触れ込みでした。後述するように、グレープフルーツによるダイエット効果は科学的にある程度認められています。
 グレープフルーツの機能性について研究例を次に記します。
抗がん作用:2000年、ハワイ州で肺がん患者582名、対照者582名を対象とした疫学調査が実施された結果、グレープフルーツを多く摂取する人は肺がんの発症リスクが半減したと報告されました。また、2007年、アメリカで果物および野菜の摂取と食道がんの発症リスクについて、490,802名を対象とした疫学調査が実施された結果、柑橘類を多く摂取する人は食道の扁平上皮がんの発症リスクが半減することが明らかにされました。2005年、オーストラリアで前立腺がん患者130名、対照者274名を対象とした疫学調査では、リコペンの摂取が多いほど前立腺がんの発症リスクが減少し、柑橘類の摂取が前立腺がんの発症リスクを減少させることも分かりました。
これらのほか、実験動物でもグレープフルーツおよび含有する苦味成分であるリモニンが大腸がん;高濃度で含有する成分(ナリンジン、ナリンゲニン)が口腔がんの進展を阻止することが示されました。ただし、乳がんについてはグレープフルーツによって発症リスクを減少させるとか、高める恐れがあると逆の研究結果が報告されました。コレステロール低下作用:1988年、アメリカで高コレステロール血症による冠動脈性心臓病患者27人に対して、グレープフルーツに含まれるペクチンが血液中のコレステロール値にどのように影響するか調べたところ、ペクチンが患者のコレステロール値「総コレステロール、悪玉コレステロールなど」を改善することが認められました。2007年、アメリカで心臓血管症でない女性34,489名を対象として15年間追跡調査した結果、グレープフルーツが冠動脈心臓病による死亡リスクを低下させることが認められました。実験動物を用いた研究でも、グレープフルーツのペクチンの摂取は高コレステロール症の発症を抑制し、動脈硬化の予防に有効であることが明らかにされました。
ダイエット効果:2006年、アメリカでグレープフルーツダイエットが肥満者91名を対象として研究されました。新鮮グレープフルーツ半分あるいはグレープフルーツジュース(237ml)を、毎日3回食前に摂取し12週間継続したところ、体重が1.5~1.6kg減少しました。さらに新鮮グレープフルーツを摂取した場合には、血液中の糖をエネルギーに変えるときに必要なインスリンの効きがよくなると報告されました。
 なお、薬を飲むときに水代わりにグレープフルーツジュースで飲むと、薬の作用が強くで過ぎて事故を起こすことがあります。一般的には服用の10時間前から服用後4時間はグレープフルーツジュースを控えた方がよいといわれています。薬を飲むときには、水や熱くないお湯で飲むほうがよいでしょう。
註)各種果物の可食部100g当たりのカロリー(kcal)
グレープフルーツ:38g、温州みかん:46、ネーブル:46、柿:60、キウイフルーツ:53、さくらんぼ:60、すいか:37、
日本なし:43、夏みかん:40、はっさく:45、バナナ:86、ぶどう:59、りんご:54 (参考:精白米ごはん:168kcal)
参考:①Le Marchand Lら:J Natl Cancer Inst. 2000 Jan 19;92(2):154-60            
    ②Freedman NDら:Int J Cancer. 2007 Dec 15;121(12):2753-60        
    ③Jian Lら:Int J Cancer. 2005 Mar 1;113(6):1010-4        
    ④Cerda JJら:Clin Cardiol. 1988 Sep;11(99):589-94       
    ⑤Mink PJら:Am J Clin Nutr. 2007 Mar;85(3):895-909         
    ⑥Fujioka Kら:J Med Food. 2006 Spring;9(1):49-54
               
     


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