« メロンの話 | トップページ | キウイフルーツの話 »

2009/06/03

レタスの話

 レタスはキク科植物で、ヨーロッパの中部からトルコ、コーカサス地方にかけて野生種が分布しています。BC4500年にはエジプトで野菜として利用されていたことが古墳の壁画から知られています。ギリシャ・ローマ時代には盛んに栽培され、ギリシャの哲学者アリストテレスもレタスを賞味したといわれています。6世紀頃には中国に伝播され、「チシャ」と呼ばれました。16世紀のヨーロッパで玉レタスが現れました。現在、レタスは欧米では非常に重要な野菜になっています。日本でレタスと呼ばれている玉レタスは明治以降にアメリカから導入されましたが、本格的に普及したのは洋食化が進んだ第二次大戦以降です。
 レタスの茎葉は乳状の汁液を出し苦味があります。この液体はラクチュコピコリンと呼ばれるポリフェノールの一種で、「軽い鎮静作用、睡眠促進作用」の効果があり、19世紀頃まで乾燥粉末にしたレタスが鎮静剤として利用されていたといわれています。
 レタスの語源はラテン語で「牛乳」を意味し、また、和名のチシャ(チサ)も「乳草(チチクサ)」を意味し、洋の東西を問わず同一語源から由来していることは興味深く感じられます。
 余談になりますが、レタスだけを使ったサラダを「ハネムーンサラダ」というそうです。lettuce alone(レタスだけ)は、let us alone(私たちだけにして)と発音が類似しているからです。
 レタスには次のような種類があります。
1.玉レタス(玉チシャ):わが国における普通のレタスで、結球は堅く完全に包合しています。食味は良好で歯切  れよく、甘味があり水分に富み、アメリカで多く栽培されています。
2.サラダ菜:結球するが、柔らかく頂部は完全には包合しません。主に皿に敷いて色取りや添え物に使われる   ほか、サンドイッチなどにも利用されます。
3.コスレタス(立チシャ):白菜に似て丈の高い球状になります。
4.リーフレタス(葉チシャ):結球しないが葉数は多い。わが国での栽培は少ない。この仲間にはサニーレタスが
  あります。
5.ステムレタス(掻きチシャ、茎チシャ):葉色は淡緑色で生育するにつれ茎は長く伸びる。葉は掻いても食べる  が、主として茎を食べます。茎は煮てアスパラガスのように食べたり、油炒めなどします。わが国ではこの茎を  乾燥した後、水で戻し漬け物に加工した「山クラゲ」が有名です。
 レタスは種類によって栄養価が大きく異なり、サラダ菜は玉レタスよりビタミン類、ミネラルともに多く含まれています。特に、カロテン(2,200μg/100g)は同じサラダ野菜のブロッコリー(770μg/100g)やトマト(540μg/100g)よりも、はるかに豊富です。玉レタスは栄養豊富な野菜ではありませんが、アメリカではサラダやハンバーガーなどへの利用が多いため、栄養分としてレタスの貢献度は高いといわれています。
 レタスはサラダやハンバーガーなどに利用するほか、中華炒め、みそ汁の具、おでんの添え物など加熱処理することもできます。加熱すると苦味が弱まり甘味が増します。
 レタスの機能性について研究例を次に記します。
抗がん作用:2000年、フランスで非喫煙者における食物と肺がんの関係が、肺がん患者506名および対照者1,045名を対象として疫学調査が実施されました。その結果、レタスを頻繁に摂取する人たちは肺がんの発症リスクが40%低いことが分かりました。わが国に在住する喫煙者および過去の喫煙者について、肺がん患者282名、対照者282名を対象として疫学調査が実施されたところ、果物、生野菜、緑黄色野菜、レタス、キャベツの摂取が肺がん予防に効果が認められました。レタスやキャベツを頻繁に摂取する人は肺がんの発症リスクが半減しました。特に、喫煙者の場合、発症リスクは著しく減少しました。また、2004年、わが国で胃がん、乳がん、肺がん、結腸・直腸がんの発症リスクと、がんの家族歴やライフスタイルとの関連を調査するため、胃がん患者1,988名、乳がん患者2,455名、肺がん患者1,398名、結腸・直腸患者1,352名および対照者50,706名を対象として疫学調査が実施されました。その結果、果物、生野菜、にんじん、かぼちゃ、キャベツ、レタスなどを頻繁に摂取しており、運動習慣のある人たちは上記4つのがんに対する発症リスクが減少していました。生野菜の頻繁な摂取および運動習慣は、がんの家族歴の状況にも拘わらず、がんの発症リスクを減少させることが明らかにされました。2000年、アメリカで、α-カロテン、 β-カロテン、リコペン、ルテインなど6種類のカロテノイドと大腸がんの発症リスクを、結腸がん患者1,993名および対照者2,410名を対象として疫学調査が実施されました。その結果、ルテインには大腸がん予防効果が認められ、その他のカロテノイドでは効果は明らかでありませんでした。ルテインが豊富なほうれん草、ブロッコリー、サラダ菜、サニーレタスなどの食品を食事に加えることによって大腸がんの進行リスクを減少させるだろうと報告されました。
心臓血管症予防: 実験動物の餌にレタスを20%添加し、3週間飼育したところ、餌中のコレステロールの吸収が著しく(-37%)低下し、糞中のコレステロ-ル関連物質の排泄が44%増え、さらに総コレステロールに対する悪玉コレステロールの割合が減少し、肝臓のコレステロ-ルレベルも著しく減少(-41%)しました。レタスを習慣的に摂取することは体内におけるコレステロールレベルの低下のほか、ビタミンC、E、カロテンのような抗酸化物も供給されるので、心臓血管症に対して予防的に働くと期待されます。
 なお、レタスは冷蔵庫に保管してもビタミンCは1週間で半減しますので、購入後できるだけ速やかに食べきります。また、鉄に触れると切り口が褐色に変化しますので、包丁を使わず手でちぎるとよいでしょう。
参考:1.清水 茂監修:野菜園芸大事典 養賢堂発行 1985年
    2.Brennan Pら:Cancer Causes control 2000 Jan;11(1):49-58
    3.Gao CMら:Jpn J Cancer Res. 1993 Jun;84(6):594-600
    4Huang XEら:Asian Pac J Cancer Prev. 2004 Oct-Dec;5(4):419-27. 
5.Slattery Mlら:Am J Clin Nutr. 2000 Feb;71(2):575-82
    6.Nicolle Cら:Clin Nutr. 2004 Aug;23(4):605-14

|

« メロンの話 | トップページ | キウイフルーツの話 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/55199/45220943

この記事へのトラックバック一覧です: レタスの話:

» DHC [DHC]
dhc化粧品、サプリメントなど、人気商品多数 [続きを読む]

受信: 2009/06/03 21:59

» 抗酸化とフリーラジカル [抗酸化作用で身体の錆を防ぐ]
老化や生活習慣病の原因である活性酸素は、フリーラジカルの一つでありますが、フリーラジカルとは不対電子を持っている原子や分子の事をいい、他の物質から電子を奪って安定化しようとします。そうしますと、電子を奪われた物質は「酸化」を引き起こす為に、細胞はダメージを受けてしまいます。こうした作用を引き起こすフリーラジカルの一番代表的なものが活性酸素であり、スーパーオキシド・ラジカルと呼ばれており、体内のあ�... [続きを読む]

受信: 2009/06/04 17:58

» 抗酸化栄養素で体を守る [抗酸化おさえておきたい抗酸化物質たち]
現代人の殆どが野菜不足だといわれています。しかし忙しいサラリーマンやOLにとって野菜不足を解消する為に、野菜ジュースやサプリメントなどによって栄養のバランスをとっている方も多いのではないでしょうか?現代では加工食品や食品添加物の多く入った食事が主流となっているので、野菜不足の人ははそうした有害な成分の入っている食品から毒素を排出する力が衰えてしまう為、結果として体内に大量の活性酸素を発生させてしまう事になり、細�... [続きを読む]

受信: 2009/06/04 20:01

» ピクノジェノール女性の為の健康素材 [ピクノジェノール女性の為の健康素材]
ピクノジェノールの抗酸化作用で美しくいたい。ピクノジェノールの効果は抗酸化の他に不妊治療や子宮内膜症などに効果がみられると言われています。 [続きを読む]

受信: 2009/06/04 22:39

» ピクトジェノール老化を防ぐ裏ワザ [ピクトジェノール老化を防ぐ裏ワザ]
ピクトジェノールは別名フラバンジェノール、フランス南西部で発見された天然素材の抗酸化作用がある美容素材です。 [続きを読む]

受信: 2009/06/04 22:44

» ピクノジェノールの天然素材効果 [ピクノジェノールの天然素材効果]
ピクノジェノールには天然ポリフェノールが92%も含んでいます。抗酸化商品が注目される今、フラバンジェノール、ピクノジェノールが持つ抗酸化作用が第7の栄養素とも言われているのです。 [続きを読む]

受信: 2009/06/04 22:52

» 大腸がんの症状と基礎知識 [大腸がんの症状と基礎知識]
大腸ガンの基礎知識や症状、治療法、検査などを解説したサイトです [続きを読む]

受信: 2009/06/07 15:16

» ピクノジェノールとは [ピクノジェノール若さの秘密]
ピクノジェノールとは、フランスの南西部の大西洋岸に生息している海岸松樹皮から抽出された天然のフラボノイドのことです。ピクノジェノールは抗酸化物質でポリフェノール92%を含みビタミンCの20倍、ビタミンEの50倍以上のパワーがあると言われています。ピクノジェノールは水溶性のフラボノイドで、タクシフォリン�... [続きを読む]

受信: 2009/06/09 14:50

» 前立腺がん [前立腺がん]
前立腺がんは10年後には男性のがん死亡者数で第2位になると予測されています。早期発見すれば、他のがんに比べて治りやすいがんです。前立腺がんの治療法や予防法などを紹介しています。 [続きを読む]

受信: 2009/06/24 11:44

« メロンの話 | トップページ | キウイフルーツの話 »