キウイフルーツの話
キウイフルーツ(別名:キウイ)がニュージーランドからアメリカへ初めて輸出された当時、アメリカと中国は朝鮮戦争を契機として敵対関係にありました。輸出業者は英名「チヤイニーズ・グズベリー」ではキウイフルーツは売れないと考えて、この果実がニュージーランドの国鳥「キウイ」と姿形が似ているので、キウイフルーツと名付けたといわれています。キウイフルーツはマタタビ科マタタビ属の雌雄異種の落葉蔓性植物、またはその果実です。
原産地は中国長江流域の山岳地帯で、ニュージーランドへは1906年に種子が導入され栽培・改良されました。日本には1964年に果実が輸入されました。栽培は比較的簡単で、園芸店などで購入した雌雄の苗を1株ずつ植え栽培すれば、秋には食べきれないほどの果実が収穫できます。しかし、キウイフルーツはマタタビ属植物であり、ある種のネコ科動物に麻酔性があるので、幼木や若葉はネコ害を受けることがあります。また、キウイフルーツは樹上では完熟しないので、果実は収穫後30~60日程度の追熟をさせる必要があります。ニュージーランド産キウイフルーツは5月から12月頃、国内産は11月から5月頃に市場に出回ります。
キウイフルーツは栄養の宝庫といえる果物です。ビタミンC、ビタミンE、カリウム、カルシウム、リン、食物繊維などは果物の中でトップクラスです。ビタミンCは69mg/100g含まれており、みかんの2倍以上、いちごを上回ります。2個食べると、成人の1日推奨量を十分に摂取できます。更年期障害などに伴う肩こり、手足のしびれなどの改善に有効なビタミンEはキウイフルーツ1個(100g)中に1.3mg含まれており、この量は卵(1.1mg/100g)とほぼ同量です。血圧を下げ、心臓発作のリスクを低下させるカリウムは290mg/100g含まれています。カリウムの摂取量は生活習慣病予防の観点からみて著しく少ないので、キウイフルーツを食事に加えると高血圧などの生活習慣病予防に有効です。また、成長促進や貧血の予防、アルツハイマー認知症や心臓病などを予防する葉酸も
36μg/100g含まれています。葉酸を長期にわたって多く摂取すると、すい臓がんの発症リスクが下がることが、スウエーデンに住む81,922名を対象とした疫学調査で明らかにされました。このほか、蛋白分解酵素アクチニジンが含まれています。生肉にキウイフルーツのスライスを挟んでおくと、肉が軟らかくなり、消化促進効果も期待できます。
キウイフルーツの機能性について研究例を次に記します。
抗がん作用:ヒトの体細胞の核の中にあるDNAが酸化され傷つくと「がん」の原因となります。野菜や果物が「がん」を予防するのは、これらの抗酸化力がDNAの酸化を抑制するからです。2003年、ノルウエーのオスロ大学の研究によると、健康人が食事の時にキウイフルーツを3週間摂取したところ、キウイフルーツの摂取量に応じて血液中の抗酸化レベルが増大し、さらに、酸化され傷ついたDNAを修復することも認められました。また、キウイフルーツの強力な抗酸化力はビタミンCよりも効果的であることも分かりました。また、キウイフルーツには非常に強い抗変異原性(発がん物質の作用や生成を抑制する性質)が認められました。ある種の発がん物質に対しては、たまねぎ、にんにく、人参よりも抗変異原性が強いことが明らかにされました。
心臓病予防効果:ビタミンCやビタミンE、ポリフェノール類を豊富に含むキウイフルーツは心臓病に有効であるといわれています。コレステロールなどが溜まって生じる動脈硬化によって血栓ができやすくなりますが、2004年、ノルウエーのオスロ大学の研究によると、毎日、2~3個のキウイフルーツを28日間摂取すると血栓の形成が抑制され、血液中の中性脂肪も15%低下しました。2006年、日本で70歳以上の高齢者961名を対象とした疫学調査の結果が発表されました。それによると、体内のコレステロールや中性脂肪など脂質の最終酸化物は動脈硬化や冠動脈性心疾患の発症因子になることが既に明らかにされていますが、この最終酸化物はキウイフルーツ、いちご、柿などを摂取すると減少することが分かりました。また、キウイフルーツの抽出物について、抗酸化力、血圧上昇抑制力、血栓溶解活性などが試験された結果、キウイフルーツには心臓血管を保護する性質があることが認められました。別の試験でも血圧上昇抑制力が大きいことが証明されました。
疲労回復効果:キウイフルーツには有機酸としてクエン酸、リンゴ酸が含まれ、レモンやライムなどに次いで有機酸が多く、疲労回復に役立ちます。1990年、中国の北京医科大学で暑い環境下でトレーニングする運動選手に対してキウイフルーツベースのスポーツドリンクの効果が試験されました。このドリンクの飲用によって、疲労するまでの時間が延長し、選手の血流量も増加し、2.5時間以上トレーニングしても血液中の糖濃度は正常なレベルであったと報告されました。
これらのほか、60歳以上の高齢者38名に対して、体重30kg当たりキウイフルーツ1個を3週間継続して食べてもらい、排便状況を調査したところ、キウイフルーツは高齢者の排便機能を改善し、健康でリラックス気分を向上させたなどの報告が数件ありました。
なお、キウイフルーツはアレルギーの原因となることがあるので、この果物を使用した加工食品ではそれを表記することが推奨されているといわれています。
参考:
1.農林水産省果樹花き課:果物&健康NEWS:Vol.76&225
2.Collins ARら:Carcinogenesis. 2003 Mar.24(3):511-5
3.Collins BHら:Nutr Cancer. 2001:39(1)148-53
4.Duttaroy AKら:Platelets. 2004 Aug;15(5):287-92
5.Kuriyama Sら:Int J Vitam Nutr Res. 2006 Mar;76(2):87-94
6.Chen JDら:J Sports Med Phys Fitness. 1990 Jun;30(2):181-4
| 固定リンク


コメント